2010年4月10日土曜日

花吹雪


花吹雪は美しい。花が自分の重みに耐えかねて、やってきた風に身を任せる。
クルクルと、花びらは輪舞をしながら、風のリードで舞う。

その一瞬を、カメラで捉えたいと思いながら、なかなか目で見たようにはいかない。
花びらはシャッターを通じて、フとその姿を光りの中に隠してしまう。
背景が黒くなければ、その姿は失われてしまう道理だ。

東京国立博物館の法隆寺宝物館の前。
全面ガラスの正面に、池の上を風が流れ、花びらが躍った。
ガラスに表慶館の背中と、やわやわと風になびくヤナギの長く青い葉が映り込んでいる。
宝物館の闇から出てきた人も、思わず繰り広げられる花弁のページェントに空を見上げた。
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